大腸疾患
Colon
大腸がんの検査法

大腸疾患

大腸がんの検査法

大腸がんの検査→診断→治療方針決定までの流れ

便潜血反応検査

大腸がんのスクリーニング(検診)で行われます。一般的に2日間の便検体を検査する2日法で行われ、目に見えない血液(がんからの出血)が便に付着しているかどうかを調べる検査です。陽性となる原因はがんやポリープ、炎症、痔などでもみられるため、大腸内視鏡などの精密検査が望まれます。なお、40歳以上の無症状の集団における結果では、便潜血陽性者の3~5%にがんが見つかるとされています。ただし、この検査が陽性でも「大腸がんがある」ということではありませんし、逆に陰性でも「大腸がんはない」ともいえませんので注意が必要です。

直腸指診

まず外来で行う診察法です。患者さんは左側臥位(体の左側を下にした体位)でえびのように体を丸め診察をうけます。肛門から直接指を挿入し直腸や肛門に疾患がないかを触診します。下部直腸の進行がんでは直腸指診だけでほぼ診断がつくといってもいいくらい、重要な診察です。

大腸内視鏡検査

大腸の精密検査です。大腸がんを疑う患者さん全員に行います。内視鏡(ファイバースコープ)を肛門から挿入し、大腸の一番奥の盲腸まで挿入した後、内視鏡を抜きながら観察していきます。腫瘍あるいはポリープなどの病変を認めた場合、良性か悪性かを調べるために病変の一部を採取して、顕微鏡で調べます(これを組織生検と言います)。また、適応があれば内視鏡的に切除(内視鏡的ポリペクトミーや内視鏡的粘膜切除術(EMR))することも可能です。

矢印:大腸癌原発巣

CT検査

がんと診断された患者さん全員に行います。X線を用いて全身の臓器(肝臓や肺など)、リンパ節への転移の有無や、周囲への浸潤の度合いなどを検索するために行います。大腸の中を調べる検査ではありません。なお、造影剤と呼ばれる薬剤を注射しながら検査する場合があり、これにより診断能が向上します。造影剤にアレルギーがある人は、あらかじめ申し出てください。

矢印:肺に転移した
大腸癌(肺転移)

矢印:肝臓に転移した
大腸癌(肝転移)

超音波(エコー)検査

がんと診断された患者さんで、必要な場合に行います。超音波を用いてお腹の中を調べる無痛の検査です。肝臓への転移の検索や、胆石の有無、水腎症(尿管が閉塞して腎臓が腫れる状態)を診断するために行います。胃や小腸、大腸の腫瘍を調べる検査ではありません。

矢印:肝臓に転移した
大腸癌(肝転移)

注腸造影検査

必要な患者さんに行います。例えば、腫瘍が大きくて内腔が狭く、内視鏡が通過できないような場合に実施されます。肛門からバリウムと空気を注入し、大腸のレントゲン撮影を行う検査です。がんの組織診断はできませんが、この検査でがんの正確な位置や大きさ、腸の狭さの程度などがわかります。

矢印:S状結腸癌

MRI検査

必要な患者さんに行います。磁気を利用して全身の臓器を調べる画像検査です。目的はCT検査と同様ですが、ごく微小な肝転移の診断や、直腸がんの膀胱や子宮、仙骨への浸潤度合いを診断するのに適しています。なお、磁気を用いる検査なので、クレジットカードなど磁気の影響を受けるものは撮影室に持ち込んではいけません。また、体に金属が入っている患者さんはあらかじめ申し出てください。

矢印:直腸癌

PET検査(陽電子断層撮影法)

通常術前の患者さんには行いません。術後のフォローアップでCTやMRIなどの検査で異常を認めないのにも関わらず、次に述べる血液中の腫瘍マーカーの上昇から再発が疑われる場合などに行うことがあります。がん細胞では正常細胞より、ブドウ糖代謝がより亢進していることを利用して、半減期の短いアイソトープ(薬剤)を注射し、がん細胞にアイソトープが集積するのを撮影する検査です。ただし、PETは万能の検査ではなく、また現時点では医療保険での適応が限られています。PET検査の必要性に関しては、担当医と十分ご相談ください。

血清腫瘍マーカー

主に術後の転移や再発の指標、もしくは治療効果の判定基準として用います。腫瘍マーカーとは、がん細胞自体から産生されたり、あるいは生体ががん細胞に反応して産生されたりする蛋白、酵素、ホルモンなどの総称です。大腸がんではCEAやCA19-9と呼ばれるマーカーが一般的ですが、進行大腸がんであっても約半数が陽性を示すのみです。転移・再発している場合で必ずしも異常値を示すわけではなく、逆に転移・再発していない場合でも異常値を示す場合もあり、あくまで指標の数値です。経時的な値を比較することが重要な検査です。

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