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肝臓には肝細胞やクッパー細胞、星細胞など数種類の細胞が存在しています。このうち、肝細胞が癌化したものが肝細胞がんです。また、肝細胞から産生された胆汁は胆管の中を通りますが、この胆管を構成する胆管細胞が癌化したものを胆管細胞がんといいます。原発性肝がんはその95%がこの肝細胞がんと、3%が胆管細胞がんです。一方、転移性肝がんは他臓器に発生したがん細胞(大腸がんや胃がんなど)が血流に乗って肝臓に生着し、そのがん細胞が大きく育ち、腫瘍形成したものをいいます。

肝臓の手術の場合は、①腫瘍条件と②肝予備能(肝障害度)の2つの因子で決定します。正常な肝臓は、切除しても6か月くらいで再生し、もとに戻ると言われていますが、全部採ってしまうことは出来ません。そこで、肝臓の予備能(肝障害度)を検査し、どの位の切除が可能かを検査する必要があります。肝細胞癌の手術適応については、2005年に出版されたによってほぼ確立されたと言われています。しかし、個々の患者さんの多様化により、必ずしもこのガイドラインに従わなくてはならないというものではありません。教室では現在「肝癌診療ガイドライン2009」を基準に、患者さん一人一人に応じた幅広い治療を行っています。
転移性肝癌、特に大腸癌の転移性肝癌は広くその外科的切除の有用性が認められています。これまでの報告によると外科的切除が唯一長期生存を望める治療法であることが認められています。「大腸癌治療ガイドライン」でも根治切除可能な肝転移には肝切除が推奨されています。

呼吸機能や心機能、腎機能等の全身状態が手術に耐え得るかどうかを評価します。肝硬変をお持ちの方は、食道静脈瘤の処置や脾臓の摘出が必要となることがあります。さらに、術前に切除後の肝臓の容積が少なくなってしまうとの判断の時には、術前に切除側の門脈を塞栓(詰めてしまう)させることによって残肝の容積を増やすと言った処置(門脈塞栓術)を施行することがあります。

当教室における多発肝転移に対する肝切除の成績調査では、3年生存率63%、5年生存率51%で、過去の報告に比べ遜色なく、同時性転移症例(同時期に原発巣と転移巣が出現した場合)においては、一期的に切除を行った場合は5年生存率72%であり、全体の中でも成績が良く、積極的に原発巣と転移巣の同時切除を行うようにしています。

しかし、肝両葉に転移が多発したH3症例に対しては長期生存例が得られず、このような患者さんは手術適応を十分検討する必要あることが解りました。大腸癌肝転移以外の転移性肝腫瘍は手術不可能とする施設が多いですが、教室の過去のデーター集計より、胃癌など大腸癌以外の転移性肝腫瘍においても、原発病変に対し、定型的な手術が施行されており、肝転移以外に遠隔転移などの予後不良因子を認めず、十分な肝予備能を有し、肝切除により腫瘍の完全切除が可能な場合は、手術により予後が期待できると考えております。

①肝外側区域内に腫瘍が限局しているもの
②腫瘍の局在が肝表面または肝辺縁にあり、主要脈管から離れていること、横隔膜や胃など周囲臓器への浸潤の見られないもの※教室では保険適応外の術式においても、技術的に可能なものにおいては、患者さんのご了解の上、腹腔鏡で手術を行います。

ポート創は肝臓の切除部位によって全く異なります。当教室では切離した肝臓は臍の縦創から取り出すようにしています。すべての患者さんにおいて、シミュレーション用のワークステーションで、術前にナビゲーション画像を作成しております。
※肝S4b,7,8(肝円蓋部)の腫瘍に対しては、胸腔鏡下に横隔膜に窓を開け切除するVATS-H手術、と経横隔膜ポート挿入を追加した腹腔鏡下肝切除術(挟撃手術)を症例に応じ使い分け手術しています。
また、術前にCTやMRIでは腫瘍が描出されていても、体外式超音波で腫瘍が同定できず、術中エコーでも確認困難が想定される肝微小娘癌に対しLOGIQ E9®( GE横河メディカルシステム:超音波診断装置)のGPS機能付きエコー・プローベを用い、腫瘍位置の確認とシステム手術支援下に安全確実な手術を行っています。

術前精査の上、5日前に入院。,
手術の当日はICU(集中治療室)に一泊。
手術の翌日、朝から飲水開始、歩行可能、夕食より食事開始。
術後9日目退院を目標。

手術時間:平均166分(75~315分)、
出血量:平均132g(少量~835g)
術後平均在院日数(退院までに要した日数)11.5日(5~17日)
2013年6月現在で、今のところ術後の創感染はなし、
その他入院期間を大きく延長させるような重大な合併症はありません。