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膵がんとは、主に膵管を構成している細胞から発生したがんで、肺、胃、大腸、肝がんに続いて5番目に多いがんです(平成16年厚生労働省人口動態統計による)。膵がんは種々のがんの中で、最も治療予後が悪いがんの代表です。その理由として、下記のような理由が考えられます。

① 背中の方にある臓器のため、症状が出にくく、   早期がんとして見つかることが極めて少ない。 ② 仮に見つかったとしても、すでに進んだ状態で、   手術の適応とならない場合が多い。 ③ 切除可能であっても、膵がんの手術は、難易度が高く   身体への負担も大きい。 ④ 手術後も、合併症発生頻度が高く、厳重な入院管理が必要となる。 ⑤ 手術し退院しても、再発をきたしやすい。 ⑥ 抗がん剤・放射線が効きにくい。

このように、膵がんの手術は必ずしも容易ではありませんが、長期生存を可能にする唯一の方法が外科治療と発表・報告されており、手術によせる期待は大きいものとなっています。ただ、近年の画像診断の進歩により比較的早期の膵がんも発見されるようになりましたので、症状が無くても、定期的に健康診断を受けることが早めの発見には大切となります。

当科においては、「科学的根拠に基づく膵がん診療ガイドライン2009年度版」に基づき積極的に治療を行っています。

stageI・II・III:

積極的に手術を行います。なお、拡大リンパ節郭清は、欧米の無作為比較試験(Surgery. 2005 Oct;138(4):618-28)、日本での無作為比較試験(厚生労働省班研究共通プロトコールに基づいた膵がん外科的療法の評価に関する研究)で肯定されませんでしたので、術後QOLを損なわない範囲のリンパ節郭清と、腹腔動脈・上腸間膜動脈周囲神経叢の半周郭清を施行しています。 

stageⅣa:

切除可能な場合と不可能な場合に分かれます。すなわち、切除範囲外の動脈浸潤が無く、門脈・腹腔動脈も合併切除すれば切除可能な程度の場合は手術適応となります。 

stageⅣb:

残念ながら手術適応とはなりません。よって、腫瘍内科という抗がん剤を専門に扱う科にて、局所進行切除不能膵がんに対しては、ゲムシタビンを中心とした化学放射線療法を施行するか、ゲムシタビンやTS-1による全身化学療法を施行し、切除可能となった場合は速やかに外科的切除を施行しています。化学放射線療法後切除可能となり切除後長期生存されている患者様もおられます。

膵頭部がんに対しては膵頭十二指腸切除術(あるいは全胃を温存する幽門輪温存膵頭十二指腸切除術)、膵体尾部がんに対しては膵体尾部切除術(膵尾側切除術)を施行し、頭部と体部にまたがった場合は膵全摘術になることもあります。膵頭十二指腸切除術の当科での平均手術時間は5~8時間で、膵体尾部切除術は、消化管・膵・胆管などの再建は必要ありませんので、平均手術時間は3~4時間です。門脈や腹腔動脈などに浸潤した症例でも個々に検討し、治癒の能性があればnavigation surgeryの手法を用いて積極的に合併切除を施行しています。

膵臓疾患に対する腹腔鏡手術は、1993年にGanierが腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術を報告して以来、徐々にその報告例は増えてきています。その後、2012年4月の診療報酬改定に伴い一般保険診療でも認められる手術術式になりましたが、技術に習熟した施設は全国でも未だ少ないのが現状です。 当院では、積極的に腹腔鏡下手術を取り入れており、最新の手術器具をはじめ、VINCENTという、最新の術前ナビゲーションシステムも導入し、その安全性は、講演会・各種学会報告でも高く評価されております。教室では膵疾患における腹腔鏡手術の適応を境界悪性腫瘍に限定しながらも、膵臓がんにおいても、症例を厳選した上、腹腔鏡手術の適応としています。(開腹手術と同等の根治度が得られると判断した症例、患者さんへの十分な説明の上、同意が得られた場合にのみ腹腔鏡補助下膵頭十二指腸切除、腹腔鏡下膵体尾部切除を行います。)