大腸疾患
下部消化管がんを中心とした治療
当院では消化器領域ではセンター制を敷いており、内視鏡診断および、内視鏡治療に関しては消化器内科医師による治療が行われます。
紹介医や、当院消化器内科医師により外科的切除が必要と判断された症例に対し外科治療を行っています。
担当医師
渡辺 誠
小沢 慶彰
北島 徹也
当科の特色
大腸がんに対する腹腔鏡手術は1990年代前半から国内でも行われるようになり、腹腔鏡手術を施行する施設は徐々に増えてきています。当教室においても大腸がんに対して積極的に腹腔鏡手術を導入しています。
炭酸ガスで腹部を膨らませて、腹腔鏡を腹部の中に入れ、その画像を見ながら小さな孔から器具を入れて手術を行います。最終的にがんを摘出するために1ヶ所、臍(へそ)の孔を4~6cmくらいに延ばします。
手術時間は開腹手術より長めですが、小さな傷口で切除が可能で、術後の疼痛も少なく患者様の回復も早いため、術後7〜10日前後で退院できるなど負担の少ない手術です。
腹腔鏡手術は近年開発された手術手技であり、特殊な技術・トレーニングを必要とし、外科医のだれもが安全に施行できるわけではありません。
現在、腹腔鏡手術の最大の問題は、どこの施設でも安全に腹腔鏡の手術が施行できるわけではないこと、すなわち大腸がんの腹腔鏡手術の専門医が限られていることです。
当教室では日本内視鏡外科学会認定の内視鏡外科技術認定医が術者あるいは指導的立場として手術に加わり、大腸がんの腹腔鏡手術を安全、確実に行う体制をとっています。
手術総数および開腹手術と腹腔鏡手術比率
手術総数
開腹手術と腹腔鏡手術比率
外来診療
月曜日〜土曜日にかけて下部消化管全般の初診対応をします。
また、木曜日午前に吉澤 宗大、金曜日午前に渡辺 誠による専門外来の体制を敷いています。
研究
当グループは術後早期回復を目指した大腸癌周術期リハビリテーションプログラム(ERAS)の基礎的、臨床的研究を中心に低侵襲性手術に関する研究、ICG蛍光法を用いた大腸がんナビゲーション手術に関する臨床研究を行っています。
術後早期回復(ERAS)に関する研究
-
Randomized clinical trial of the influence of mechanical bowel preparation on faecal
microflora in patients undergoing colonic cancer resection
M. Watanabe M et al. Br J Surg 2010: 97; 1791-1797 -
科学的根拠に基づいた術後回復強化策(ERAS)による大腸癌周術期管理
渡辺 誠 他 日大肛病学誌 2013: 66; 591-595 -
最近の大腸癌周術期管理の実際 第40回東京大腸セミナーアンケート調査結果
渡辺 誠 他 日本大腸肛門病学会誌2015; 68: 391-402 -
腹腔鏡下結腸手術前後におけるインスリン抵抗性の検討
渡辺 誠 他 外科と代謝・栄養 2015; 49: 287-292 -
炭水化物含有飲料水の胃内容排出時間に関する基礎的検討
渡辺 誠 他 昭和学士会雑誌 75巻6号 Page647-651(2015.12) -
Performance Statusに左右されない大腸癌術後回復促進プログラム
渡辺 誠 他 癌の臨床 2016: 62(6) 35-41
低侵襲性手術に関する研究
-
Rational manipulation of the standard laparoscopic instruments for single-incision laparoscopic right colectomy.
Watanabe M et al. Int Surg 2013: 98; 205-209 -
The modified Altemeier procedure for a loop colostomy prolapse.
Watanabe M et al. Surg Today 2015; 45: 1463-1466 -
Evaluation of a Transumbilical Incision as an Approach or Organ Removal in Laparoscopy-assisted Colectomy.
Tomioka K et al. Anticancer Res. 2018 Jan;38(1):513-517.
ICG蛍光法に関する研究
-
大腸癌におけるICG蛍光法を用いた新しいセンチネルリンパ節生検
渡辺 誠 他 ICG蛍光Navigation Surgeryのすべて 2008 151-155 -
TICG蛍光法を応用した大腸癌術前マーキング
渡辺 誠 他 ICG蛍光Navigation Surgeryのすべて 2008 361-365 -
Colonic Tattooing Using Fluorescence Imaging with Light-Emitting Diode Activated Indocyanine Green: A Feasibility Study
Makoto Watanabe et al. Surg Today 2009: 39; 214-218 -
ntraoperative Identification of Colonic Tumor Sites Using a Near-Infrared Fluorescence Endoscopic Imaging System and Indocyanine Green.
Watanabe M et al. Dig Surg 2017; 34: 495-501 -
Preoperative colonic cancer tattooing using the near-infrared fluorescence laparoscopic imaging system.
Ozawa Y et al. Asian J Endosc Surg. 2016; 9 340-343 -
近赤外線蛍光内視鏡イメージングシステムを利用した腹腔鏡手術前マーキングの経験
小沢 慶彰 他 日本内視鏡外科学会雑誌 2015; 20: 541-545 -
腹腔鏡下直腸癌手術における術前マーキング法の検討 点墨法とICG蛍光法の比較
小沢 慶彰 他 昭和学士会雑誌 80巻1号 Page1-6(2020.06)
現在行っている研究、今後予定している研究
- 再発危険因子を有するStageII大腸癌に対するUFT/LV療法の臨床的有用性に関する研究
- 高齢者 StageⅢ 大腸癌に対する術後補助化学療法の現状調査(多施設共同観察研究)
- SI-449癒着防止システムの開腹による直腸切除術施行患者を対象とした無作為化試験
- 直腸癌に対するICG蛍光法を用いたナビゲーション手術
- ICG蛍光法を用いた大腸癌術前マーキングに関する研究
- ICG蛍光法を用いた右側結腸血流域に関する研究
- 超高齢者に対する大腸癌手術
- 絞扼性腸閉塞に対するICG蛍光法を用いた血流評価
- SMA/V ratioを用いたAMI予後予測
- 小腸人工肛門造設後早期合併症に対する前向き研究
- 小腸人工肛門造設術の工夫
- ストーマ脱出に対する独創的術式の開発