2025年11月 一覧

白神美織先生のagriculture活動報告

2025-11-18 23:26:51
ドクターの日常

Kia Ora!! 医局員の白神です。

現在、ワーキングホリデービザを利用してニュージーランドへ渡航し、約9ヶ月の滞在を予定して います。

目的は、英語のブラッシュアップと、医学以外の世界を知ることです。

2025年5月に渡航してから早くも半年が経ちました。

この間に経験したこと、感じたことを「医局員の独り言」として書かせていただきたいと思いま す。

 

今回の内容は主に

①ニュージーランドの基本情報

②酪農のお仕事

③WWOOFでのファームステイ

④Kiwi女性の圧倒的パワフルさ

についてです。

 

◆ニュージーランドという国◆ ニュージーランドと聞いて「キウイ? 羊? ラグビー?」とぼんやりしたイメージを持つ方も多い かもしれません。実は私も渡航前は「オーストラリアの隣のもう一つの国」というくらいの認識 でした。国土の約80%が無人地帯で、自然が非常に豊かな国です。

「Kiwi」という言葉は、我々日本人にはまずフルーツ🥝 を連想しますが、実は 3つの意味 があり ます。

①フルーツのキウイ

②ニュージーランドの国鳥 “Kiwi” ̶ 夜行性で、天敵が少ない環境のため飛べなくなった鳥です

③ニュージーランド人そのもの(親しみを込めた呼称)̶ “He is Kiwi.” のように使います。(写真❶) 

地形は大きく北島と南島に分かれ、大きさは北海道+本州くらい。

なんとなく形も似ているような、、?(写真❷)

人口は約500万人で、そのうち約200万人が最大都市オークランドに集中しています。 北海道と札幌の人口と比べても規模感が似ており、自然環境もどことなく北海道と重なります。

また、ニュージーランドといえば先住民族であるMāori(マオリ)の存在です。 人口の約1/5を占めており、日常の挨拶から地名、学校教育までマオリ文化は国の大切なアイデン ティティとして根付いています。 冒頭の”Kia Ora”はMāori語で「こんにちは」「ありがとう」「元気?」など温かい気持ちがこもっ た万能の挨拶です。 余談ですが、私の名前も“Maori”。 両親曰く直接的な関係はないそうですが、いつかは来る運命だった、と密かに感じています。 そしてKiwiに自己紹介する際には100%ウケます。 ある人に“Hi I’m Maori”と自己紹介したら、“Oh me too”って帰ってきました。 Kia Ora。

オークランドに到着後は語学学校に1ヶ月通いながら、仕事探しと車の購入など生活基盤を整えて いきました。驚いたことに、青木教授のご友人である Chani さんがオークランド在住とのことで ご紹介いただき、ご自宅にも招待してくださいました。 初めて食べたスリランカ料理はどれもスパイスが効いていて絶品でした。 そして、最初にお会いした際に “I can be your mother.” と言われた時の安心感は、今でも忘れ られません!(写真❸) 

◆南島での酪農生活(Milking & Calving)◆ 私はスノーボードが趣味なので、冬の期間は南島に滞在することにしました。

最初の仕事は一番やってみたかった、酪農。

ニュージーランドの酪農は完全放牧型で、牛たちは広大な牧草地を歩いて草を食べながら生活し ます。

主な仕事内容は搾乳(milking)と子牛の世話(calving)の二つです。

働いてみて初めて知ったことですが、乳量を安定させるため、乳牛は定期的な出産が必要です。そ のため全国の牛は8~10月の春に一斉に出産するよう管理されており、私がいた規模1000頭の牧 場では毎年約800頭の子牛が生まれます。この「子牛シーズン」に向けた短期雇用が数多く出てい ました。どちらの作業も予想以上に体力勝負です。

Milkingについて。

1日2回、50頭収容の巨大ロータリーに牛が自ら入ってきて(トレーニング済み)、アシスタント である私たちが搾乳カップを付けます。作業が終わると牛は自分で元の場所に帰っていきます。優 秀です。

朝は5時開始。放牧地の牛をバイクで集め、搾乳し、搾乳小屋を清掃するまでが1セット。それを 1日2回行います。毎日ヘトヘトでした。搾乳カップは自動ですが、装着は手動。若い牛は嫌がる ので蹴られることもあり、さらに時々“上からの落下物”があるので油断禁物です。

清掃用のホースも消防隊レベルの水圧で、前に体重をかけないと吹き飛ばされそうになります。と にかく全てがパワー勝負でした。(写真❹)

Calving(子牛の世話)について。

生まれたての子牛を牧場から集めて子牛小屋に移動させるところから始まります。牛は生後すぐ 歩けますが、長距離はトラクターで運ぶ必要があり、平均20kgあるため非常に重労働でした。

子牛たちは母親の初乳を飲みますが、生後1~2日は飲み方が分からないため、哺乳を教えるのも 私たちの仕事です。

1頭あたり約5Lのミルクを飲むため、ミルクトラックで補充しながら給餌します。おそらく1日1 トン以上は使っていたと思います。

大規模で全てが重く、フィジカルの弱さを痛感しました。

体調管理も重要で、大きくなった子牛には全頭ペニシリン入りミルクを予防的に与え、元気のな い子には抗生剤注射や温かいミルクでケアしていました。(写真❺) 

牧場内に宿舎があったのですが、何より嬉しかったのは牛肉食べ放題だったことです。 冷凍庫にはステーキ、ひき肉、ロースト用まで色々揃っていて、食には全く困りませんでした。

◆WWOOFでのファームステイ◆

私が挑戦したのは WWOOF(World Wide Opportunities On Organic Farms) という仕組み です。

WWOOFは政府に認められたボランティア滞在制度で、農場や家庭の作業を手伝う代わりに宿と 食事を提供してもらえる、いわば「住み込みファームステイ」のようなものです。ホストと生活を 共にするため、まるで家族の一員になったような体験ができます。

最初に滞在したのは、Christchurch近郊の小さな湾沿いの集落 Purau。 海を見下ろす高台に建つ家で、ドイツ人の老夫婦が犬1匹、馬2頭、羊数十頭と暮らしていまし た。敷地はとにかく広大で、日々の仕事は山道の整備(雨水を逃がすドレナージ作り)、固有種 の植林、庭の階段作り、羊の餌やりなど、自然に触れる作業が中心でした。

滞在した時期はちょうど羊の出産シーズンで、かわいい子羊に癒される一方、死産にも立ち会い ました。頭が出たまま出産が停止し、母羊も諦めてしまったようで、そのまま群れと走っている 状態に…。ホストと一緒に羊を追い込み、子羊を引き出す作業を手伝いました。獣医も来てくれ ましたが、母羊も長くは持たないだろうとのこと。翌日には群れから離れて静かに息を引き取っ ていました。ホストいわく「毎年1回あるかないか」。命の重さについて考えさせられる出来事で した。 

空き時間には馬に乗り、近くの山を散歩するのが日課に。帰りは近所のファームの敷地を横切っ て帰るという、地元の人ならではの特別なルートでした。その途中には、小川をジャンプして越 えるコースもあり、ホストファザーは平然と進むものの、私は内心パニック。でも、8年前に吉田 時代の馬術部で少しだけ乗っていた経験がまさかここで活きるとは…! 馬も次第に心を開いてく れ、嬉しかったです。 また、日本食を作ってほしいとリクエストを受け、生まれて初めて寿司を握りました。皮付きの サーモンを渡され、剥がし方もよくわからず完全に我流。不恰好でしたが喜んでもらえたので良 しとしました。 さらに手巻き寿司のレクチャーも行ったところ、ホストファザーは「握りをそのまま手巻きに包 む」という斬新なアレンジを披露し、全員で大笑い。文化交流の醍醐味を感じました。

◆パワフルなKiwi女性◆

最後に。ニュージーランドに暮らしていて、ふとした瞬間に「Kiwiの女性のパワフルさ」を感じる ことがあります。

街を走る車のハンドルを握っているのは、なんとなく女性率が高い気がします(完全に主観)。

酪農の現場では、1.5トンのミルクキャリーを本来なら機械で持ち上げるところを、自分の腕力で 持ち上げて車に接続する女性にも出会いました。その彼女は、私が仕事でヘトヘトになっている 横で「休日は山を走るトレイルランの大会に出るの」と軽やかに話していて、あまりのタフさに 驚かされました。

WWOOFのホストマザー(70代前半)は、真冬の海で毎朝スイミング。しかもそれは町全体で行 われている“普通の習慣”で、お年寄りのみなさんが当たり前のようにこなしている生活だそうで す。

さらに街中では、ベビーカーを押しながらランニングをしている母親の姿をよく見かけます。

こうして振り返ると、Kiwi女性たちは本当にパワフルで、たくましく、自然体で、しかも楽しそう に生きています。見ているだけでこちらまで元気をもらえるようで、気づけば私の憧れ、そして目 標になっていました。

 

おわりに

現在は北島に戻り、キウイやアボカドのファームで働いています。残り約3ヶ月、来週にはキャン パーバンを手に入れ、再び南島へ渡ってWWOOFやチェリーの仕事に挑戦する予定です。 今しかできない経験と新しい発見を大切にしながら、「強いKiwiの女」を目指して自分磨きを続 けていきたいと思います。

 

最後に、このような一年間を快諾してくださった青木教授をはじめ、温かく送り出してくださっ た消化器・一般外科チームの皆様に心より感謝申し上げます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 

剣研会レポート

2025-11-16 10:02:50
ドクターの日常 イベント

初めまして。

入局2年目 専攻医の内田泰誠と申します。

 

今回は、先日開催されました「助教の先生と教授との懇親会」、通称 剣研会 についてご報告いたします。

この会は、私たち若手医師や助教の想い・意見を直接教授にお伝えし、交流を深める貴重な場として、毎年 青木武士教授 により主催いただいております。

今年は タントタント ザ ガーデンズ五反田 にて開催され、美味しい料理とお酒を囲みながら、和やかな雰囲気の中でそれぞれの想いを語り合いました。

 

教授には、私たち若手一人ひとりの今の思いや将来像に真摯に耳を傾けていただき、日々の学びや成長への励ましを頂戴しました。

篠原先生は、先日お生まれになった娘様とご一緒にご参加。
現在、戸塚共立第一病院でご活躍中の内田祐介先生も、満面の笑顔を見せてくださいました。
多くの先生方が集い、賑やかで温かい雰囲気に包まれました。
二次会では歌やダンスも飛び出し、大盛況のうちに幕を閉じました。
このような場を設けてくださる青木教授のご厚意に、心より感謝申し上げます。

 

医局選びに迷われている方も、ぜひ一度当医局の温かい雰囲気を感じにお越しください。
見学を心よりお待ちしております。

ピサ留学日記⑥

2025-11-02 11:59:04
留学日記 ドクターの日常

Ciao!!

ピサ大学に留学させていただいております柴田です。

 

イタリアはサマータイムが終わり、日本との時差が8時間に戻りました。今の時代は携帯が勝手に時間を調整してくれるので、本当に便利ですね。

 

今回は大変だったイタリアでの手続きに関して報告したいと思います。

 

イタリアでは日本の医師免許が使用できますが、その手続きはとても大変でした。。。

日本での証明書を英語訳して、アポスティーユもしくは公印確認を取得しなければなりません。

イタリア大使館や外務省、警察など、書類を取得するためいろいろ行きました。

専門の業者もあるので、そちらを雇うのが得策でした。。。

 

書類がなかなか揃わず、渡航予定が大幅に遅れましたが、12月にやっと書類が整い出国しました✈️

 

次の関門がイタリアでの滞在許可証の取得です。

イタリアに3ヶ月以上滞在する場合には滞在許可証が必須です。

まずはKITという封筒を郵便局でもらいます。

こちらはすべてイタリア語ですが、web上でかなり詳しく書き方が書いてあるので、それに従い記載していきます。

 

記載していざ郵便局に提出に行くと、「金額を教えろ」といわれました。

提出する州や内容によって金額が変わるとのこと🧐

郵便局の人に聞いても、それはわからないから教えられないと跳ね除けられる始末。

 

なんとかwebで調べ、確証はないのですが、それらしき数字を書いて再度訪問しました。

 

前回と違う担当者だったのですが、一瞥しただけで受領してくれました。

内容を確認しているのか不安でしたが、ミスがある場合には後々の手続きの時に指摘されるという情報もあったので、とりあえず提出ができました。

そして予約された面接日はなんと6月下旬!!

 

半年以上も待たされることになりました。。。

この面接の予約日時を示した書類があれば、イタリアでの滞在やEU内の他国への移動はできるとのことですが、さまざまなトラブルがあったという投稿もあり、不確実です。

 

実際の面接は比較的スムーズにいきましたが、翌日にまた来いと言われました。

翌日に行ってみると同じ建物の向かいの部屋で指紋を取るだけ。。。

昨日やってくれよ😅

 

「できたら連絡するよ」と言われ、待ち続けていますが4ヶ月を過ぎた今でも連絡は何もありません。

HPでも進行状況を確認できるのですが、まだ準備中です。

 

イタリアの公的手続きは非常に遅いです!!

おそらく帰国までに取得はできないでしょう。。。

 

郵便局の対応も大変でした。

教授のご厚意で日本から差し入れを送っていただきました。

小包の状況はweb上で確認でき、さらにそちらに私の現地での電話番号、メールアドレスなどを追記しました。

 

届く一歩手前で1週間程度留まっていたので、郵便局に問い合わせに行きました。

Webの画面を見せて、今の状況を聞きましたが、「今は担当者がいないから明日来い」と言われ、翌日行くと「待つしかない」と言われました。

 

それでも届かないため、後日改めて郵便局にいきましたが、同じ対応でした。

このやりとりを数回繰り返しましたが、いつまで経っても届かない。。。連絡も来ない。。。

 

そしたら今度は、web上で「荷物が日本に向けて返送された」という画面に変わりました!!

すぐに郵便局に行くと

「これは返送されているからもうどうしようもない」

「念の為この番号に電話してみろ。ただし英語は通じないからな」

と言われる始末😱😱😱

 

(あんたが電話してくれよ)と思いながら、友人に頼んで電話してもらうと、

「なんでもっと早くここに電話しなかったんだ!もう返送されたから受け取れないよ」

 

なんで最初からこの番号を教えてくれないんだ!!!

せっかく送っていただいた荷物を受け取れませんでした。

申し訳ございません。。。

 

その後も4ヶ月以上もイタリアで滞ったままで、まだ日本に返送されていません。。。

私が学んだイタリアでの教訓。

大事な手続きにはイタリア語が必須!!

担当者によって対応や言うことが違う!!

サポートしてくれたイタリア在住の日本人の方にも同じような経験があったと言われました。

やはり日本は素晴らしい国だと再認識しました。

今回はあまり写真が載せられず、少しつまらない内容だったかもしれないので、

最後にイタリアのスーパーマーケットで見つけた写真を紹介します。

このようなものでも日本語をみると少し安心しました。

いよいよ帰国の日も近づいてきました。

また日本で一緒に働ける日を楽しみにしています!

 

ではまた次回。

Arrivederci!!

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