大腸疾患
手術後のフォローアップ
大腸がんに対して根治手術(見えているがんを完全に切除すること)が行われた場合でも、残念ながらその後に転移や再発をきたす場合があります。しかしながら外来にて定期的なフォローアップを行うことで早期に転移や再発が発見できれば高い治療効果が得られる可能性があります。したがって手術後は再発、転移の早期発見のために定期的な検査を行うことが極めて重要です。
大腸がんの転移、再発の危険の高い部位は主に肝臓、肺、腹膜です。結腸がんでは肝臓への転移がもっとも多く、直腸がんでは肝臓、肺、さらには骨盤内の再発も頻度が多くなります。したがって術後のフォローアップは基本的にこれらの転移、再発の好発部位に対する検査を中心に行います。ほかにも骨や脳などにも転移する場合もありますが、頻度は非常に低いため、症状や腫瘍マーカーの異常などがなければ、これらに対する検査は定期的には行っていません。
フォローアップの間隔と期間に関しては、手術時の病期により異なりますが、手術後5年間は3~6ヶ月に一度通院し、血液検査(腫瘍マーカーなど)、レントゲン、CT、超音波検査、内視鏡検査などの検査を行います。厳重に追跡検査を行えば、再発の8割を2年以内に発見することができます。しかし、まれに成長の遅い大腸がんや、数年経ってから転移・再発をきたす場合もあるので、一般的に手術後5年間の通院・経過観察が必要と言われています。ただし、患者さんの体調や社会的な事情により通院・検査が困難な場合は、それぞれの状況に応じたフォローアップを行います。
大腸癌治療ガイドライン医師用2019年版より作成
参考文献
- 大腸癌取扱い規約第9版 大腸癌研究会編(金原出版)
- 大腸癌治療ガイドライン医師用2019年版(金原出版)
- 患者さんのための大腸癌治療ガイドライン 2014年版 大腸癌研究会編(金原出版)
- もっと知ってほしい大腸がんのこと2019年度版(NPO法人キャンサーネットジャパン制作)
- 大腸癌研究会HP http://www.jsccr.jp/index.html
- ブルーリボンキャンペーンHP http://www.cancernet.jp/brc/